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労務関係:未払残業代の調査・精算

    多くのIPO準備開始時点では、従業員の労働時間の管理ができていないかと思います。そのため未払残業代の調査・精算は、上場準備の過程で対応しなければならない業務の一つになってくるかと思います。上場申請書類(IIの部・新規上場申請者に係る各種説明資料)でも未払賃金の発生状況の記載が求められています。

    時期としては、N-2期かN-3期以前に実施することが望ましいと思っています。成長性をアピールするためにN-1期・N期のPLには影響させたくない、IPO準備が進むにつれて多忙になるの理由があります。また何らかの理由で調査に時間がかかった場合、上場時期が伸びてしまう可能性も出てくるため、N-2期中には対応しておきたい業務になります。会計上どのように処理するか顧問税理士、監査法人とも協議が必要です。時効があるので、時効まで遡ること、退職した従業員にも行うこと、グループ全体の従業員に対して実施する必要があります。

    また未払残業代の調査・精算と同時に、未申告の残業時間の防止を行う必要があります。労働時間の管理ができる体制が整う以前に関しては、未払残業代の調査・精算をし、労働時間の管理ができる体制が整った時点からは、未申告の残業時間が発生してないと説明できることが必要です。こちらの上場申請書類での記載が求められております。その他、割増賃金の基礎が正しいのか等々も確認しながら進める必要があります。

    一般的にはタイムカードがあり、そのタイムカードの時間の妥当性を担保するために、上長が全員の出社時間と退社時間を目視でチェックできればいいのですが、それは不可能で、現実的ではありません。そのため、タイムカードとは別システムを入れるのが一般的かと思います。パソコンのログを取ったり、事務所の入退出の時間を記録したり等いろいろ方法はあるかと思います。週次・月次ぐらいでタイムカードの打刻時間と別システムの時間を突合し、未申告の残業時間は発生していないという確認が必要になってきます。当然タイムカードと別システムとの時間が乖離するので、何分以上の乖離は調査する等々のルールも必要です。

    この未払残業代の調査・精算と未申告の残業時間の防止については、外部の社労士法人からアドバイスを受けながら進めることはとても有効だと思います。上場審査においても外部の専門家に確認したかどうか聞かれる可能性があります。

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